サブウェイが有料にしたのは、レタスではなくオリーブでした——「無料の有料化」は、何を残すかで決まる

サブウェイはオリーブやピクルスを、タリーズは手提げ袋を有料にしました。本体価格を上げずに値上げする「無料の有料化」で、何を有料にしてよいのか。両社が有料にしたもの、無料で残したものから解剖します。
高橋嘉尋 2026.10.05
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この夏、2つのチェーンが、本体価格を上げずに値上げをしました。

7月22日、サブウェイは無料で選べたオリーブ・ピクルス・ホットペッパーを、各20円の有料トッピングに変えました。8月5日には、タリーズコーヒーがテイクアウト用の手提げ袋を0円から10円にしました。どちらも、サンドイッチやドリンクの価格はそのままです。

本体価格を上げるか、内容量を減らすか。値上げはこの2つで語られがちですが、両社がとったのはどちらでもない手です。これまで0円だったものに、値段をつけたのです。

プライシングを専門とする立場から、両社が何を有料にし、何を無料で残したのかを解剖します。

この記事の結論

・本体価格を上げれば、値上げは顧客全員に及ぶ。無料だったものを有料化すれば、払うのはそれを求める顧客だけになる

・この手で問われるのは「何を有料にするか」ではなく「何を無料で残すか」。サブウェイは基本野菜を、タリーズはドリンクとフードの価格を守った

・有料化してもよいのは、高く払ってもいいと思ってくれている顧客層が求めているもの。それは調査で見分けられる(会員限定パートで解説)

2社がやったこと

サブウェイ(7月22日〜)

  • 有料化したもの:オリーブ・ピクルス・ホットペッパー(無料 → 各20円)

  • 守ったもの:レタス・トマト・オニオン・ピーマンの無料カスタマイズ、本体価格

  • 理由:原材料価格の上昇

タリーズ(8月5日〜)

  • 有料化したもの:手提げ袋(無料 → 10円、1会計につき)

  • 同時に上げたもの:コーヒー豆 150〜210円、ドリップコーヒー製品 235〜240円

  • 守ったもの:ドリンク・フードの価格

  • 理由:原材料・人件費・店舗運営コストの高騰

本体価格を上げると、値上げは全員に及ぶ

本体価格を10円上げれば、すべての顧客が10円多く払います。来店のたびに目にする価格で、競合と比べられるのもこの価格です。

一方で、オリーブを有料にしても、オリーブを足さない顧客には何も起きていません。袋を有料にしても、店内で飲む顧客や袋を断る顧客の支払いは変わりません。値上げの負担が、その要素を求める顧客にだけかかります。

つまり、コスト増の回収先を「顧客全員」から「それを使う顧客」に絞り込んだということです。

サブウェイが先に決めたのは「何を残すか」

注目したいのは、サブウェイが有料化の理由をどう書いたかです。

原材料価格などの上昇が続く中でも、基本野菜である「レタス」「トマト」「オニオン」「ピーマン」の無料カスタマイズサービスをできる限り維持するため

主語は「何を有料にするか」ではなく、「何を無料で守るか」です。守るものを先に決め、残りを有料化しています。

サブウェイは無料の野菜を、自社の言葉で2つに分けていました。「基本野菜」と「アクセント野菜」です。

  • 基本野菜(レタス・トマト・オニオン・ピーマン):野菜を自由に増やせるという、サブウェイを選ぶ理由そのもの。多くの顧客が恩恵を受けていると考えられる

  • アクセント野菜(オリーブ・ピクルス・ホットペッパー):好みが分かれやすく、使う顧客と使わない顧客が分かれる

基本野菜を有料にすれば、全員の値上げになるうえ、サブウェイを選ぶ理由まで削ることになります。アクセント野菜なら、負担するのは好んで足す顧客だけで、サブウェイらしさは残ります。同じ「無料の野菜」でも、有料化してよいものと、してはいけないものがあったと考えられます。

タリーズも、同じ線を引いている

タリーズの袋については、レジ袋有料化の規制対応ではないかと思われるかもしれません。しかし2020年から有料化が義務になっているのはプラスチック製の袋だけで、紙袋などは対象外です。タリーズは今年の8月4日まで、袋を無料で配っていました。規制の対象であれば、2020年の時点で無料にはできません。

実際、タリーズはこの袋の有料化を、コーヒー豆の値上げと並べて「価格改定のお知らせ」の中で発表しています。規制への対応ではなく、値付けの判断です。

そして、その同じお知らせに「ドリンク・フード商品は据え置き価格」とあります。店内の顧客が毎回払うドリンクとフードの価格には手を付けず、コスト増は袋とコーヒー豆、つまり持ち帰る顧客と自宅で飲む顧客の側に寄せました。線の引き方は、サブウェイと同じです。

なぜ、袋とアクセント野菜だったのか

なぜ、袋だったのか。なぜ、レタスではなく、オリーブやピクルスだったのか。そして、自社が無料で提供しているもののうち、どれなら有料化してもよいのか。

では、どうやって有料化するポイントを見つけていくのかを解説します。

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続きは、2074文字あります。
  • 有料化してもよいのは、高く払う顧客層が求めているもの
  • 仮説は、箱ひげ図で確かめられる
  • 実践するときの注意
  • まとめ

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